まみ めも

つむじまがりといわれます

センチメンタル・アドベンチャー

四月の終わりから闘病している友人がいて、入院生活が続き家族以外はお見舞いにもいけない。なんの病気かは明かさずに気丈にしているけれども、ちいさい子どもを家に残しての病院での治療はしんどいに違いなく、小骨のように気持ちに引っかかっていた。ときどき一時退院していることは知っていたけれど、このあいだ、仕事帰りに最寄り駅におりたら、行く手に彼女が待っていて、信じられない気がした。痩せてしまってぷくっと膨らんでいた頬がこけてしまって、頼りなくうつって、泣いてしまいそうになるのをぐっとこらえ、世間話だけをして別れた。あとしばらく闘病生活は続くらしい。いつもと同じ時間に駅に行くかどうかもわからないのを、しんどい体で待っていたのだと思うとたまらない。こういうときに、うれしい気持ちを上手にあらわせず、もどかしい。もどかしいけれども、感激をあらわにしている自分を想像すると苦々しい気もしてしまう。結局は自分から逃れられない。

センチメンタル・アドベンチャー [DVD]

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プレミアムシネマの録画。

肺を病んだ大酒飲みのカントリー歌手レッドは、長年夢みていたカントリー・ミュージックのラジオ番組「グランド・オール・オープリー」のオーディションを受けるためナッシュビルへ向かうことに。レッドを尊敬する甥のホイットと、死ぬ前に故郷に帰りたいというホイットの祖父を加えた3人の旅がはじまるが…。監督・主演のクリント・イーストウッドが、実の息子のカイルと共演、歌やギターも披露した傑作ロードムービー

クリント・イーストウッドが「グラン・トリノ」のエンディングで歌ったのはちょっとした驚きで、今回も歌い出すときにはどきどきさせられた。息子のカイルはまぶしそうな目つきがよく似ている。イーストウッドは死にかけている演技に醍醐味があると誰かが言っていたけれど、結核病みにしてはマッチョなので、死んだといってもあまり生々しくない、だからセンチメンタルなんて言ってられるような気がする。