雑用としか言いようのない仕事がまわってきて、午後は延々とものの所在を確認し数える作業をやった。ひとつわかったことは、自分がろくろくものもちゃんと数えられないということで、ついさっき指さし確認したはずのものがどれだったのか数分後には怪しくなっている。それにしても部長用椅子だとか一般用椅子だとか、肘掛けのあるなしで椅子にまで純然たるヒエラルキーがあることを知り、物悲しい気持ちになる。我らヒラ社員は肘を休ませている場合ではない。
- 作者: 石井桃子,中川宗弥
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1967/01/20
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 63回
- この商品を含むブログ (35件) を見る
ある朝小学校二年生のノンちゃんが目をさますと、お母さんがお兄ちゃんをつれて出かけてしまった後。大泣きして神社の境内にある大きなモミジの木に登ったノンちゃんは、池に落ちたと思ったら空に落ちて、雲に乗ったおじいさんに拾われて…。
こどもの本のコーナーにあった鮮やかなブルーの表紙につられて借りた。なんだか知ったような地名が出てくる気がして調べたら、石井桃子の生家が中山道のそばで、ほんのご近所であることを知った。石井桃子で画像検索すると、若い頃の写真が出てきて、つるりとした肌に丸い眼鏡をかけて、右手に鉛筆を持って、左手にはハンカチのようなものを握っている。着ているニットのそで口には毛玉があって、鉛筆といい、ハンカチを握るたたずまいといい、いかにも石井桃子らしい一葉の肖像なのだった。ノンちゃんも石井桃子よろしくピンと背すじの伸びた気持ちのよいまっすぐでいじらしい女の子で、すぐに好きになった。ノンちゃんみたいに空に落ちてみたい。