敵というのは案外に身近なところに潜んでいるもので、その思いがけなさに面食らい心が折れてしまうことがときどきある。産後、フルタイムで働きたいとお母さんに話したとき、自分も仕事をしていたお母さんはきっと応援してくれると思ったのに、こどもたちがかわいそうだといわれ、目の前がくらくなる思いがした。今回のこどもたちの病気で、ウイルスの診断が必要かどうかという見解でもめ、こどもたちに対する気持ちが足りないといわれたときもなんだかものすごくガックリきてしまった。気持ちはともかく、仕事も4日間の休みをとり、具合の悪い子をクリニックに連れていき、食べられそうなものを工夫してこしらえ、仕事に出られる日は5時に起きて朝ごはんを支度して7時からしゃかりきに働いても多方面に申し訳なさを抱えている、その状況で精神論を持ちだして責められる辛さよ。お母さん業の限りなさをなんとかしてほしい。共感してくれる相手が現在進行形で子育てをしているお母さんしかないのもしんどい。
- 作者: 三浦知良
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/03/15
- メディア: 単行本
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プロサッカー選手として29年目のシーズンへと走り出した、三浦知良。2011年から2014年春までに綴ったコラムを収録する。『日本経済新聞』連載「サッカー人として」を書籍化。
カズはまさしく「サッカーを生きている」、カズのことばにはいつも嘘がなくてまっすぐで、とにかく憧れる。しんどいこともあるはずなのに、いつも日の当たる場所にいるような明るさがあって、くよくよしたところがない。じめじめでベトベトでくよくよなわたしには信じられない。震災後のチャリティーマッチでカズがきめたシュートは絶対に忘れない。