乗り換えする駅の改札を出たところにマックがあって、毎朝、ひとりの男の人が紙コップのコーヒーをそばにおいて本を開いている。白髪混じりで、やせ型、スーツに上着を着て、マフラーは上着の胸元に几帳面におさめてある。本はテーブルに観音開きにおいて、ふせんが貼ってあるから買った本なんだろうな、いつも微笑んでいるような表情で本を読んでいて、朝の乗り換えで殺伐と走り抜ける人たちの中で、そこだけ穏やかで、いつもその人を見かけるとほっとする。10月の頭に、10日くらい見かけなくなったときは、どこかに異動になってしまったのかなとソワソワした。いいなあ、毎朝、コーヒーをすすって本を読む時間を持てる贅沢。その余裕をつくれるところに勝手にグッときてしまう。
- 作者: ベバリイクリアリー,ルイスダーリング,Beverly Cleary,Louis Darling,松岡享子
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2007/06/15
- メディア: 単行本
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ヘンリーくんは小学3年生。ごくふつうの男の子。ある日、やせこけた犬を拾い、こっそりバスに乗せて家までつれて帰ろうとしましたが、途中で犬があばれだして大騒ぎに…。
ヘンリーとアバラー p5-38
百万びきのグッピー p39-75
ヘンリーと夜歩き屋 p76-111
緑のクリスマス p112-154
うすもも色の犬 p155-194
拾ったものはその人のもの p195-225
なんてかわいらしく一途な男の子!こどもはきっとみんなこんな一途さをもっている、そのことを思うととてもいじらしい。そしてこんな一途さをきちんと描けるベバリイ・クリアリーの世界。児童文学に触れると、忘れていた自分のおさなごごろに出会うような懐かしさがあるけれど、わたしはおさなごころなんてものを持ち合わせていたのか疑わしいまったくかわいげのないこどもであったという事実。