冬休みになってから図書館にでかけたらもうお正月休みであいていなかった。ブックポストに本を返して、なんとなく物足りない気持ちのまま本を持たずに荷造りをして、大みそか、初雪のちらつく浦和から鎌倉の山の上までやってきた。義父の書斎に直行し、どんどん足の踏み場のなくなっていくところをそれでも踏み分けて縦横に積まれた背表紙のなかにカズオ・イシグロを見つけてほっとする。これほど2017年の年越しにふさわしい本もなかなかないだろう。
- 作者: 北上次郎
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2014/05/24
- メディア: 文庫
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17歳の1年は、特別な1年というわけではない。後から振り返った時に、その頃が特別に感じられることを別にすれば-。稀代の読書家・北上次郎が、思春期女子が主人公の物語を厳選した傑作アンソロジー。
放課後の巣 森 絵都
忘れないでね 豊島 ミホ
No.2−『スコーレNo.4』より− 宮下 奈都
ゆめ 大島 真寿美
小梅が通る 中田 永一
豊島ミホ、檸檬のころを読んだときの淡い気持ちが残っていて、そのうえセブンティーン・ガールズというアンソロジーのタイトルに惹かれて借りた。檸檬のころ、は、ブックデザインがよかった、鈴木成一デザイン室の存在を知ったのはこの本だったか、旅先でビールだったか。そういえば北上次郎は目黒考二なんだった、目黒考二は本に対する愛がすごくて、目黒考二の愛を通して出会う十代のガールズのみずみずしさにはっとする。世の中の17歳をすぎたすべての人は、この本を読んで、自分の青春にはなかった一ページにあったかもしれない可能性として触れていい。