始業前に朝礼当番があって、持ちまわりで挨拶をする。月に一度くらい。今週、その順番がめぐってきたので、きょうが一年で一番夕暮れの早い日であることを話した。自分でもわかっていたけれど、同僚から、一年前にもおなじ話を聞いたかも、といわれ、いよいよ庄野潤三めいてきたなとちょっとうれしいのだった。螺旋のように似たような一年を過ごしていく中で、本当にいろんなことがあるけれど、そういうことはおいておいて、おなじ話を繰り返していくのは、自分のこころに楔というか錨というか、決まりきった日々に繋ぎとめたいような気持ちかもしれない。
- 作者: 岸田今日子
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2001/06/01
- メディア: 単行本
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娘にしてあげたお話と、著者の中に住んでいる読者に向けて創ったお話にエッセイも加えて…醒めて見る夢のような小作品集。1975年刊行のものに加筆、再編集したもの。
岸田今日子って、ずいぶんかわいらしいお母さんだったんだなあ。あの上品な語り口でこんなお話を聞けたまゆちゃんがうらやましい。