お隣のおじいさんが育てている食用菊の黄色がまぶしい。秋の日の光が斜めにさして、刹那の感じがする。朝の送りで歩く道すがら、天気の良い日はいつも布団を干している家があり、大通りで朝日を浴びている布団を見るといてもたってもいられなくなり、慌てて家に帰って布団をせっせとベランダに運ぶ。雨の多い田舎で育ったので布団を干すことはあまりなく、たまにいい日和があると、屋根に布団を並べてその上に寝そべった。あの屋根ももうすぐ壊されてなくなってしまう。関東にいると晴れが続く秋冬は毎日がスペシャルになってしまい、布団を干して取り込むだけでひと仕事終えた感じになってあとはぼんやり過ごしてしまう。
週明けに父の具合がよろしくなくなり、水曜の午後のチケットを手配してむね肉のから揚げを揚げまくっていたら、今夜が山かもしれないと連絡が来た。から揚げを揚げているときに、ふとなにかが動いた気配がして、おとうさんかなと思ったところだった。そのまますぐ荷造りをしてげんちゃんとふたりで大宮2130のかがやきに乗ってお見舞いにきた。新幹線のなかでは落ち着かずにチョコレートを貪った。肺炎を起こして高熱はありながら手足が冷えてつめたくなっている。息が苦しそう。なんとかとどまってほしい。どうして痛みも苦しみもわけあえないのだろう。
村上春樹全作品 1990~2000 第5巻 ねじまき鳥クロニクル(2)
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/07/19
- メディア: 単行本
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村上春樹全作品の第2期。第5巻は読売文学賞受賞作品「ねじまき鳥クロニクル」の第3部「鳥刺し男編」を収録。著者による書下ろし解題入り。
相変わらずワダさんの表紙がいい。全国の本屋や図書館の書架におさまる、ワダさんの本を思う。ワダさんは旅立ったけれど、本はいつまでも読まれ続ける。