細胞培養をはじめたら、細胞に翻弄される日々。思ったより増えてたり、かと思ったらピタッと増えなくなり、週末のあいだほっといたのに月曜日に顕微鏡ごしに覗いてもなんにも変わってなかったりする。なんて手のかかるやつだ。
細胞にかまけていたらせいちゃんが体調をくずし、夕飯もそこそこに残して寝てしまった。咳をしている。午前だけ会社にでて、培養室にこもって細胞の世話。培養室にひとりでいると、世界から切り取られたような気がしてくる。昼あがりして急ぎ足で帰宅。雨で金木犀の花が落ちてアスファルトに小花柄をつくっている。
ト。
身重で帰ってきた娘を迎えたのは、毎日ニルヴァーナを大音量で聞く母だった…。「ロック母」ほか、ぐれた娘が家に火を放って逃亡する「ゆうべの神様」など1992年から2006年に書かれた短編小説全7編を収録。
ゆうべの神様 p5-85
緑の鼠の糞 p87-110
爆竹夜 p111-133
カノジョ p135-162
ロック母 p163-189 父のボール p191-224
イリの結婚式 p225-257
角田光代の短編にでてくる人たちは針が振り切れているけれど、簡単に一線を飛び越えてそちら側にいけるような気がしている。たぶん線なんかないし。