まみ めも

つむじまがりといわれます

銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件

玄関先の桜の葉が黄色くなって散っている。さるすべりの花も落ちる。ふわりでもなくひらひらでもなく音もなく花がすうっと墜落する。ふーたんが、あ、と声をあげて窓際に走り寄って、落ちる花をじっと眺めていた。

ト。

ある日、カナダの銀行に紫色の帽子をかぶった強盗がやってきた。彼はその場にいた十三人から“もっとも思い入れのあるもの”を奪い、去り際にこんな台詞を残した。「私は、あなたがたの魂の五十一%を手に、ここを立ち去ってゆきます。そのせいであなたがたの人生には、一風おかしな、不可思議なできごとが起こることになるでしょう。ですがなにより重要なのは―その五十一%をご自身で回復させねばならぬということ。さもなければあなたがたは、命を落とすことにおなりだ」その言葉どおり、被害者たちに奇妙なことが起こりはじめる。身長が日に日に縮んでしまったり、心臓が爆弾になってしまったり。母親が九十八人に分裂した男性もいれば、夫が雪だるまに変身した女性も…。いったい、なにがどうなっているのか?

七月の図書館の企画がなんだったのか忘れてしまったけど、棚の中に鮮やかなイエローの表紙とむちゃくちゃなタイトルが目にとまって借りた。タイトルのフォントもいい。やっぱりむちゃくちゃな話だった。