まみ めも

つむじまがりといわれます

酔いがさめたら、うちに帰ろう。

酔いがさめたら、うちに帰ろう。
週末は雨。二週間ぶりで家族が揃う。息子氏は実家がよほどたのしいと見えてちっとも寝ようとしない。蒲団からいそいそと脱走するさまをみて、黒川仏壇店のテレビコマーシャルを思い出す。あれ、ローカルコマーシャルなんだろうな。いつのまにか見なくなったが、もう流れていないのか、わたしがテレビをあんまりつけないからなのかわからない。あのいかにも優しそうなおばあちゃん、とっくに仏壇のなかのひとになっとるだろうな。生きていたらそれはそれでびびる。ローカルといえば輪島のナントカ園とかいう旅館だとおもうが、テレビから海水とともに海産物が飛び出るコマーシャルもなつかしい。
スカイブルーが鮮やかな背景に笑ったような困ったようなぼんやりした表情の男の表紙。へたくそな題字だなあと手にとった本は西原理恵子氏のわかれた夫である鴨志田氏のアル中私小説だった。表紙の絵はリリー・フランキー、へたくそな題字はサイバラ氏。アル中で入院し、癌がみつかって退院するまでの無茶苦茶な日々を綴ってある。文章は飄々としてところどころ何が言いたいやらわからんピントのぼけた表現で、必要以上に改行が多いので頁がやたらと白けているのが妙にぽっかりした喪失感を漂わせる。ぷつんと生い立ちが切れるのも、さみしかった。鴨氏は、生きかたがずどんと死にむかっていて、生きたいのか、死にたいのか、よくわからない。たぶんそんな生きかたしかできなかったんだろう。こんな脆いハートの男を本気で好きになるには、女はふかふかにタフじゃないとやってけない。砕けたガラスで傷だらけにされてしまう。西原理恵子というひとは、すんげータフですんげーやさしいひとなんだと思った。