まみ めも

つむじまがりといわれます

せきれい

青空の下で始業式だけはやったものの、ゴールデンウィークまで休校が決まり、間延びした日々。お友だちを呼ぶこともためらわれ、空模様さえよければベランダでごはんをする。カレーにサンドイッチ、焼肉。サンドイッチはSNSで見かけた土井善晴のエピソード(土井先生が10分くらいかけてじっくり卵を温めながら「子どもの頃、ホテルの朝ごはんで出てくるスクランブルエッグがすごくロマンチックでしたよね」みたいな話をする)に釣られて弱火で作るとろとろのスクランブルエッグのサンドイッチ。土井、パンのみみでおみそしるを作ったり、とにかくあなどれなくてどこまでもついていきたい。カレーには家族の数に合わなかった半端のロールキャベツとメンチカツをつぎ足した。味噌汁にパンの耳の土井善晴やスペインオムレツに湖池屋ポテトチップの樋口直哉に比べたら全然突き抜け感が足りない。ブレークスルーがほしい。

せきれい (文春文庫)

せきれい (文春文庫)

  • 作者:庄野 潤三
  • 発売日: 2005/01/07
  • メディア: 文庫
 

本棚から。

妻のピアノ友達である女の子の来訪。近くのパン屋の胚芽パンのおいしさ。夜はハーモニカを吹き、妻が合わせて歌う。老夫婦の静かな生活の不思議なほどの明るさと暖かさが印象的なエッセイ風長篇小説。

ふくちゃんのお産のときに病院で読んだのがはじめての庄野潤三「せきれい」だった。昨年末に父が亡くなり、そのあとは呆けたようになって、やさしい肌ざわりのものしか読みたくなくなり、年明けから、本の中の季節のすすみに足並みをそろえるようにして読んでいた。久しぶりに読んでみると、夏子さんの葉書にしたためる文字の分量が凄まじいことに驚く。奇跡のような日常、こんな時間の流れが、あるべきところにまた戻ってくるように。ここではないどこかに。