まみ めも

つむじまがりといわれます

2022-01-01から1年間の記事一覧

モヤモヤしている女の子のための読書案内

梅の花が終わりかけで木蓮がもうひと息というこの時季に桃色の花で遊歩道を彩ってくれるのが、杏なのか桃なのかがよくわからない。花の下で立ち止まってマスクをずらして匂うのか匂わないのかのあわいの空気を吸い込んでみる。ごま油を使った夕飯の匂いの方…

バッタを倒しにアフリカへ

お伝えしたいことがございます、という思わせぶりなメールが届き、どきどきして出向いたら、異動の内示だった(わかってはいたけれど)。サラリーマンになってからはじめての異動。もともとが地味なサラリーマンなのだけれど、四月からさらに地味なところへ…

社会人大学人見知り学部卒業見込

台所で蓮根をフライパンで焼いて、いい頃合いになったのをお皿に引き上げているときに、手元がくるってひと切れ落としてしまい、あ、と声が出た。テレビをみていたげんちゃんが、それをきいて、ゆっくりと向き直り、おちついて、と声をかけてきた。そのたど…

お金物語

しばらく前につわりの母熊をなだめる夢を見た。小柄な熊だったので、前から抱きかかえてよしよしとした。効き目があったかどうかはわからないけれど、つわり、しんどいよな。目が覚めたときにしっとりとした熊のぬくもりが残っていて、なつかしい気がしたの…

三千円の使いかた

日曜の朝、子どもたちと古本いちへ行く。好きな本を一冊だけ選んで買ってあげる。せいちゃんは二冊ほしくてお小遣いで一冊買った。 せいちゃん ジム・ボタンと13人の海賊 ミヒャエル・エンデ せいちゃん 続ちびまる子ちゃんのことわざ教室 ふくちゃん ぼくら…

内側から見た富士通

空の高いところに飛行機をみつけたり、近くのおおきな道路を走る車のエンジン音がきこえたりすると、離れた地でこういう音に怯えて過ごす人たちがいるのだということを思い憂鬱になる。わずかだけれど寄付を送った。木蓮の蕾がふくらんでいる。 内側から見た…

家族の味

待ちに待ったハンバーガー屋にいく日がきた。ふーちゃん、ままのすきなおようふく、といって朱色にボーダーの襟付きの服をえらんで、ままのすきなふたつに髪を結った。ふーちゃんとげんちゃんはハッピーセット、こちらはハッピーじゃないセットを。そのあと…

奇面館の殺人

行きつけの図書館のそばにハンバーガーショップができて、週末にはドライブスルーにならぶ車が行列をなしている。図書館の行きがけに自転車でそばを通るとジャンクなにおいに誘われる。今度のおやすみにいこうね、とふーちゃんに約束したら、それはそれは楽…

蕎麦ときしめん

しばらく前に見た夢は、通勤の道がふさがっていたり、塀が倒れていたりして、なかなか駅にたどり着けないというものだった。なんとか大通りに出たけれど、大変な人波で、人だかりが坂道をくだり、そのあとのぼった先になぜか渋谷駅がある。駅についたらエス…

ほんのちょっと当事者

大雪の予報が出ていた10日に、遊歩道の白梅がやっと咲いた。容赦なくぶった切られた枝から細い若枝が伸びて健気に蕾をつけているのを見つけたときにははっとした。それから毎日遊歩道を通って蕾をのぞいてから仕事に向かった。いつもなら二月になる前に咲く…

「大家さんと僕」と僕

朝、家のそばの木立でずいぶん甘えた声で囀る鳥がいて、ゆかしくなって後退りしてみたらバサバサっと羽ばたいていった残像がブルーグレーのオナガだった。ふだんギーギーと悪声扱いされているけれど、つがいが鳴きかわす声がこんなにもいじらしいなんて。と…

貝がらと海の音

節分の夜は恵方巻き。前々日に人参と干し椎茸を甘辛く煮ておき、前日にたまご焼きを作っておく。当日は先に帰ったセイちゃんにごはんを炊いておいてもらい、炊き立てのごはんで酢飯をつくり、たまご焼きときゅうりを細長く切って、鮪のたたきと煮物とあわせ…

東京ブチブチ日記

やっと仕事に出られるようになった。家仕事最後の日もやっぱりお弁当箱におかずを詰めてお昼にした。冷凍のからあげ、たまご焼き、ブロッコリー、プチトマトに栗かのこ。 久しぶりの通勤で遊歩道を歩いたら、やっぱり定点観測の梅には蕾がついていない。毎年…

破船

休園が長引き在宅勤務になった。ちょうど小学生が弁当持参の日だったので、お弁当箱を出して、おかずを用意して、ふーたんに詰めてもらう。とりの照り焼き、玉子焼き、ブロッコリー、プチトマト、栗かのこ。自分で用意したお弁当がよほど楽しみで、九時に、…

愛のひだりがわ

感染の一挙拡大でこの週末から保育園が無期限の休園になってしまった。保健所がパンクしていて情報がまったく入ってこない。家族が濃厚接触者にあたる可能性の有無もわからない状況で会社からは出社するなといわれ、在宅勤務もないため有給休暇をくいつぶす…

もう一杯、飲む?

日曜の夜に誕生日を祝ってもらった。お惣菜の並んだテーブルは色彩と栄養の偏りが過ぎる。赤いスパークリングワインを開けた。お祝いに花束と折り紙と寄せ書きの手紙をもらった。せいちゃんとふくちゃんはふたりでイオンの花屋にいって花を選んでくれた。淡…

おいしいものでできている

年に何度か、緑道沿いの茂りすぎた植木や雑草が伐られるのだけれども、今年の夏だったか秋だったかは例年より容赦なく刈り込まれてしまった。毎年この季節に開花をたのしみにしているちいさな白梅の枝も蕾をとったあとのブロッコリーみたいに虚しくなって「…

誰か-Somebody

仕事始めの帰りに駅前で八百屋に寄り、ショップカードを出したときにレジから流れるハッピーバースデーがフライングで誕生日を祝ってくれるのが恒例になりつつある。誕生日のことなんてまったく忘れているので不意をつかれるうえ、レジが混み合う時間帯にみ…

13階段

お正月休みが明ける前の日、ふるさとのお友だちが会いに来てくれた。愛猫の病気からひょんなことでつながりが生まれ、久しぶりに連絡をくれたのだった。十年ぶりに会う彼女はおっとりふんわりすべすべしたままで、いろんなお餅をついてお土産に持ってきてく…

地下街の雨

お正月、鎌倉の山の上でご近所さんのお宅におよばれをし、庭先の薪ストーブでいろんなものを焼いて食べた。キッチンのわきに部屋がありスタンウェイのグランドピアノがおいてあり、ドビュッシーのアラベスクとシベリウスの樅の木を聴かせてもらった。しなや…

わたしの、本のある日々

ゆく年くる年を見てからあけましておめでとうを言い合い布団に入って朝はいつもよりずいぶん遅くまで寝た。おそ朝のあとで散歩した公園でおおきく富士山が見えた。二択の問いの正解をあえて言わなかったのでいられなくなり早々に家に帰ってきた。駅前のイト…