まみ めも

つむじまがりといわれます

2013-01-01から1年間の記事一覧

駅前旅館

浦和に戻ってきたら、ほとんど空白の冷蔵庫が冷えていた。帰ったなりでスーパーマーケットに買い出しにいき、牛乳にヨーグルトに食パンにバナナ、とりあえずのものを買い込んだが、野菜室はあいかわらずひっそりしている。しごとの帰り、毎日の晩の献立を考…

名短篇、ここにあり

夏休みの経過をしるしておく。下田に三泊、それから鎌倉に三泊。下田ではプールと海で遊び、ホテルの敷地から外には一度も出なかった。鎌倉についた翌日は小田急デパートののりものフェスタにいく。たいへんな人出で、セイちゃんはすっかり雰囲気にのまれて…

食いしん坊 1

下田でフクちゃんの食がすすまず、慣れないアウェー環境によるものかと思いきや、みるみるうちにぷつぷつと発疹がひろがり、どうやら巷で大流行の手足口病をやらかした模様。二年前の夏休みは、鎌倉についた初日にセイちゃんが熱発し、やっぱり手足口病だっ…

作家の別腹

毎年恒例の下田行。こどもらが寝たあとでひさしぶりのひとり風呂に入る。陽のしたでは、からだの中にこもった行き場のない熅気を持て余しているくせに、ぬくい湯に浸かると、じわじわと浸みてくる熱に、わたしのからだは冷えていたのだなと気がついたりする…

深沢七郎集 第七巻 エッセイ

仕事の帰りに保育園でこどもたちをピックアップし、西日にじりじり照らされながら家路。玄関の扉をセイちゃんにあけてもらって、セイちゃんのうしろからベビーカーを滑り込ませ、後ろ手で扉をしめるが、二日にいっぺんくらいは蚊がまぎれこんで(セイちゃん…

わかもとの知恵

夏休みに家をしばらく留守にするんで、せっせと冷蔵庫の整理に余念のない一週間。メロンにはっさくマンゴーバナナりんご、毎朝茶碗に大盛りのフルーツに、ヨーグルトをかけて、夕飯も冷蔵庫掃除のテッパンでカレーライス。茄子とピーマンにズッキーニとしめ…

プールサイド小景・静物

こどもたちは少しずつ元気を取り戻し、フクちゃんは、頭から発する焼けたパンのにおい、病気のあいだはにおわなかったが、食欲が戻ってきたら、また、におうようになった。なんて素直な肉体だろうといじらしい。金曜日の夜は、出張で上京した父と、東京にい…

手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)

金曜日の夕にフクちゃんの熱があがり、土曜日は朝一番で近くの病院でみてもらう。すこししつっこいしめりけのある咳をしていて、吸入をやってもらった。夜も咳き込んで目を覚ます。朝は五時に起きてしまう。それで、セイちゃんは元気にしていると油断してい…

溶ける街 透ける路

月曜日の夜に、鍋にしこたまカレーをつくって、火曜の夜は飲みに出歩くつもりだったが、こどもらが順々に熱をだし、鍋いっぱいのカレーだけが残ったので、せっせと食べる。カレーのレシピには色々あって、毎度具もレシピもちがうし、どうせレシピ通りにも作…

日本世間噺大系

土曜日、航空公園の野外ステージで音楽イベントがあって、友人家族に誘われてでかけていった。乗り換えを三回もやるのだが、線路萌えのセイちゃんは終始ご機嫌で窓外を眺め、武蔵野線が鉄橋をわたるところでは、汽車ぽっぽの、てっきょうだ、てっきょうだ、…

さらば冬のかもめ

連休の最終日は、地区のお祭りがあった。こども神輿がでるというので、セイちゃんも半纏を借りて、参加することにした。半纏も鉢巻きも糊がきいてぱりぱりしていて、祭り半纏などに縁はなかったくせになんとなく懐かしい気持ちがする。集合時間にいくと、湯…

パノラマ島奇譚

連休の中日は動物園にいった。暑さにへばったパンダのうしろ姿に行列ができていた。その最後尾に含まれる。パンダはすべての期待を心地よく裏切ってくれる。とはいえ、本当はこっち見て手を振ってくるパンダなんて、誰も求めていないのであって、ちょっと獰…

ことばの食卓

連休の初日、田舎から母親がでてきた。おかあさんに会うと、毎度のことながら、はじめの一時間ぐらいは機関銃トークに圧倒される。三歳児が一生懸命話しかけてくるかたわらで、その事情を一切斟酌しないアラ還がまくしたてるので、耳がふたつフル稼働。じっ…

恐怖特急

乗り換え駅で踊る赤と黒のエロサスエロミス、その字面を眺めていたら、ミステリーを読むならいましかなかろうという気分に俄然なってきて、本棚からひっぱりだしてきた。ブックオフの105円の値札シールが貼ってある。恐怖特急 (集英社文庫)作者: 阿刀田高…

デスペラード

一挙に夏になり、フクちゃんの頭皮からイーストのにおいがしている。なかなかどうしてくさいのに、うれしくて、耳の裏あたりをクンクンしてしまう。パンが焼けるときにオーブンから漂うにおい。フクちゃんは寝かしつけに手がかからず、布団につれていって、…

世界クッキー

通勤のかばんに、本を忘れた。朝の通勤の電車の中で気がついて、そわそわしていけない。お昼を食べたあとの、節電で薄暗い照明のなか、読むべき本をもたずに時間をもてあます自分の姿を想像したら、やりきれなくて、乗り換えの駅の本屋にとびこんだ。ありが…

土を喰ふ日々

七夕が近いので、保育園で短冊をもらった。願いごとを書いてもってきて笹に括れという。帰り道で、セイちゃんに、願いごとはなにがいいかきいてみる。去年は、おむすびたべたい、だったよ、と話すと、食いしん坊のスイッチが入ってしまい、いちごのドーナツ…

雨の日はソファで散歩

セイちゃんは、毎朝プラスチックの衣装ケースを覗きこんで、好きな服をひっぱりだして着るようになった。こっちはなんにも言わずに好きなようにさせて眺めているが、ここのところは西松やのコーディネートがお気に入りで、ライオンだか熊だかしれないファン…

ゴッドファーザー PartII

庭先の植え込みに、去年のバジルが種を落としていたらしく、気がついたらちいさな葉っぱが出ていた。ちょうど二本のびてきて、まだちいさいので、葉を取り切らんように、気をつけて、十枚くらい、ちぎって、週末はピザを焼いた。すこしおもしろくないことが…

林芙美子 巴里の恋

フクちゃんが五時起きして、ねないので、フライパンでベーコンを油なしでじわじわやったところに卵をおとし、黄身を菜箸でつついて、へらでまとめ、レタスとマヨネーズと一緒トーストににはさんで、ラップにくるんだのを、お昼にもっていく。それから朝食の…

原色の街・驟雨

こないだ、酔っぱらって帰宅した夜、湯からあがり、いい気分で歯ぶらしをつかっていたら、前歯の裏がわの詰めものがぽろりと落ちて、穴ぼこができた。べろで確かめると、ざらざらとする断面が珍しい。職場で、冷蔵庫からだしたグレープフルーツジュースを飲…

窓ぎわのトットちゃん

オフィシャルな飲み会があるので、豚肉と人参しめじを赤ワインにケチャップ、ソース、醤油にバルサミコ酢で煮こんだハヤシライスを鍋いっぱいに作っておき、セイちゃんにこんこんといい含めておいた。セイちゃん、お父ちゃんとフクちゃんとさん人でお風呂と…

ゴッドファーザー

フクちゃんが不意打ちのように早起きをしてくれる。朝方、ふと気づいたらベッドの足元でうずくまるようにしているので、やや、これではベッドから落ちかねない、と思ってひっぱりあげたら、目を覚まし、泣き出してしまった。しばらく抱いて歩きまわったが、…

うちの宿六

火曜の夜は、こどもたちを寝かしつけしていたら、となり近所から、二度、ワーッ、はいった、はいった、と歓声がきこえてきて、その声の色で、代表戦のなりゆきがしれたけれども、あとから録画でみたところが、果たして歓声のとおりだった。本田が、インタビ…

わが文壇散歩

いつのまにか六月で、入梅していた。遊歩道のあたりをぴょんぴょんしていた鳥が、かわいらしいので、調べたら、むくどりというらしい。名前をおぼえると愛着がまして、こころのなかで、むく、むく、と呼びかけてみたいのに、雨のせいかここのところ見かけな…

夕べの雲

休みをとった金曜日、いつものドーナツと、コーヒーをさんざんおかわりしてだぶだぶのおなかで日に当たって歩きまわったらなんだかくたびれてしまった。夜、こどもたちを寝かしてひとりこじあけて飲んだワインのタンニンがやたら舌に気になるなあと思いなが…

アメリカの鱒釣り

月曜日、ミーティングをやっている会議室で、扉があいて、紙片がさしだされ、それがまわってきて、フクちゃんが熱をだした報せだった。あと三十分で仕事がおわる時間だったので、そのまま仕事が終わるのを待って、迎えにいった。いつもとおなじ時間のおなじ…

僕の中の少年

フクちゃんは手づかみをやりたいお年頃で、さいの目に切った人参、牛蒡、蒟蒻と大豆をうす甘く煮てやったのをちまちまとよろこんでつまんでいる。ここのところ、五時半に正確に目を覚まし、朝はおなかが減ってしかたないらしく、台所で朝食のしたくをする足…

軽薄のすすめ

きのうの夕立はすごかった。いまにも泣き出しそうに堪えている空をにらみながらの帰り道、駅をでて、みんな傘をさしてないのにほっとしながら山下達郎をきいていたら、まわりのひとたちが急に、早送りのボタンでも押したみたいに走り出すのと、大粒の雨がば…

コップとコッペパンとペン

こないだの日曜日は家族で近所のシネコンにいき、セイちゃんは宿六と映画館のデビューをした。ふたりが薄暗いシネコンに吸いこまれ、きかんしゃトーマスの映画をみて、パンフレットをぶらさげて出てくるまで、ベビーカーのフクちゃんとぶらぶらしながらウイ…