まみ めも

つむじまがりといわれます

2013-01-01から1年間の記事一覧

光る眼

混雑したエレベーターのなかで、となりの先輩が、前の女の人の肩に止まっている小さな虫をみつけて、あ、と声をあげた。先輩は、みんなが振り返るときには、そのちいさな虫をつまみあげていたが、それを横から眺めていた同期の男の子が、その虫、くさいっす…

タンジェント

週末は友人家族と軽井沢にいってきた。大宮で乗り込んだあさまで待ち合わせて、あっという間に軽井沢。しんしんと冷えが這い上ってくる寒さに、台風の名残で霧雨も降っていたが、タクシーが走り出すと抜群の紅葉が目に飛び込んできた。タクシーの運転手さん…

バットマンリターンズ

結膜炎がひと段落する間もなく、こどもらが咳をごほごほやり出し、御多分に洩れず頂戴し、もう数週間治らないでいる。今週になってから、痰がやたらとねばっこく、鼻づまりがひどい。鼻のつまりはかつてないほどで、にんにくを散々に炒めている至近で鼻をく…

男性作法

月曜の朝、いつもと同じ時間にフクちゃんと家を出た。東西に視界のひらけた往来にでたら、珍しく街の底に靄が佇んでいる。そういえば、育った町では海が近いせいか、夏の早朝にはよく朝靄が出ていたっけ。フクちゃんを保育園に預け、駅までひとりで歩きなが…

書国探検記

九月末の病院で薬の用量不足を指摘され、そのときになにか自覚症状はあるかと問われて、なにも思いつかなかったが、薬を1.5倍飲むようになって半月あまり、埋もれていた症状に今更ながら気づいている。思えばここしばらく空腹感というものがなく、食べる量も…

L.A.コンフィデンシャル

フクちゃんが保育園から持ち帰った結膜炎を家族でリレーし、第一走者のフクちゃんが一週間やすみ、続いてセイちゃんが一週間やすみ、アンカーの宿六が点眼薬アレルギーを経て角膜炎の転帰を辿り、約ひと月かかってようやく鎮圧の兆し。こんな場合でもアンカ…

狼たちの午後

火曜は台風でいったん休み。すこしだけ朝ねぼうをして、いつもよりのんびりとこどもらを保育園に送り出す。駅前のドーナツショップは、運休している路線の再開を待つ人で混んでいた。カフェオレとドーナツをひとつ。なんだかむかむかするように思いながら、…

本が好き、悪口言うのはもっと好き

夏のうちはシャワーで済ましていたが、涼しくなってきたので、日曜から浴槽に湯を張ることにした。角膜炎の宿六を外で待たしておいて、こどもらを順番にいれていく。こどもらは久しぶりの湯槽がうれしくてしかたなく、ふたりともなかなか上がろうとしないで…

ル・アーヴルの靴みがき

土曜は運動会。宿六は今週いっぱい仕事にでられず、こどもらも咳がしつこく続き、わたしは御多分に洩れずもらい風邪をし、左奥の下の親知らずは腫れている気配をじんじん放ち、どうなることかと案じていたが、なんとかこどもらとわたしとで参加できたので、…

バートン・フィンク

知らない間に台風がかすめていたとかで、風が吹いたらしく、水曜の朝、門扉をあけたらアスファルトに金木犀の花が散らばって小紋柄のようだ。ここのところ金木犀のにおいがそこら中に立ちこめてむせかえるみたいだったが、これですこし落ち着いてくれるかも…

オリエント急行殺人事件

乗り換えの駅の通路に、セレクトショップが並んでいて、そのポスターに知った顔があるような気がして二度見したら、高校の同級生だった。大学に入り、モデルになり、いまはファッションブロガーで、ラジオのナビゲーターなんかもやっていて、思えば高校生の…

どんぐり姉妹

先週から結局三日半やすんだ。三日半ですんだのは、義母が三遍も足を運んでくれたからなんであって、義母がくるたびにご馳走を持参してくれるものだから、一挙に食卓が華やかになった。寿司に焼き鳥、葡萄に餃子に肉まん。今半の肉ですき焼きもやった。翌日…

未来世紀ブラジル

フルスロットルのお休みの翌の火曜日、宿六とセイちゃんに留守をまかして仕事にいったら、みるみる体調が乱高下し、頭痛と吐き気に見舞われた。帰って、作っておいたドライカレーをあっためて、夕飯をすませ、バファリンを飲んで、片づけもしないで寝てしま…

激突!

病状(というほどのものでもないが)が安定していたので、月曜、半年ぶりに通院するので休みをとり、こどもたちを保育園に連れてったところが、セイちゃんの目が腫れているのだから眼科へつれていけと門前払いをくらい、セイちゃんと宿六は眼科へ、わたしは…

科学と宗教と死

フクちゃんの結膜炎が治ってきたとおもったら、家族じゅうにひろまったのか、セイちゃんも宿六もわたしも眼が充血してまぶたを腫らして、みんなでしょぼしょぼになってしまった。まわりにうつすわけにもいかんので、なんとなく気持ちも引っ込み気味。仕事に…

台所のおと

秋に対する感受性は高いとみえて、朝夕の肌寒、往来の金木犀の成分よりも先立って、鼻腔がむずむずしてくしゃみが止まらない。暮れていく秋空にセンチメンタルをもよおすそばからヘクショイヘクショイやるので、センチメンタルも威勢良く霧散していく。チョ…

バットマン

火曜の夜に義母にきてもらい、起き出した水曜の朝、目やにが出てまぶたが腫れている。実は、数日前から目やにっぽかったのを、花粉症にちがいないと思い込んだりもしていたのだが、思い込みが足りなかったと見える。世の中にはお縋りしただけで小指がはえて…

連休の前日、宿六に病院行脚してもらい、フクちゃんの発疹を皮膚科でみてもらったら、原因はよくわからないが、ジベルばら色粃糠疹か滴状類乾癬だろうという診断で、いずれにしても自然の経過で消えるのを待つしかないという。ついでで、目やにがひどいのを…

太陽の帝国

ひょんなことから小中の同級生の近況を知った。わたしの小中学校時代は、勉強のできる以外の取り柄がとことん排除されたじめついたものだったが、そんな中で、たった一度だけ男子に告白されたことがあって、その相手だった。裏山に呼び出され、同級生数人が…

ブエノスアイレス

連休だが、フクちゃんが病気したのでどこかへ出ようという気持ちになれないで、きのうは図書館と日用品の買い出し、きょうは近所の公園にいって、まわるお鮨を食べてきた。宿六が次々と映画を借りてくるので、毎晩のようにみているが、アルコールを飲むとね…

フィッシャーキング

連休に栗拾いをしたというひとから、袋にたくさんの栗をもらった。午前中いっぱいかかって鬼皮を剥き、そのうち十五粒をつかって栗としめじの炊き込みごはんを三合炊いた。残りは全部重曹をとかした水につけて沸かし洗い、するのを二晩繰り返し、楊枝ですじ…

温泉旅日記

台風といっしょに夏の残りもぬぐわれていった。帰り道、こないだまで照りつけるようだった西陽が、夜の入り口、さわやかな夕焼けに染まって、思いきり息を吸いこみたくなる。雲がしましまに流れて、こんながらのワンピースがあったら素敵だけど、着こなせな…

フェイク

連休の日曜日は、公園でピクニックをやろうと盛り上がっており、お弁当のおかずリクエストのリサーチなどもしていたが、台風直撃で流れてしまった。朝、どしゃ降りの雨の音で目が覚めて、便器をのぞいたらぽこぽこと下水が逆流していて焦った。おかずのリク…

傷だらけのランナー

木曜日、会社を休んで、フクちゃんの病院にいってきた。駅前からバスに乗って、いってきたが、セイちゃんが二度入院し、そのあと一年ぐらい定期的に診察してもらっていた病院で、セイちゃんをバギーにのせて、おおきなおなかを抱えて、フクちゃんが生まれた…

バナナは皮を食う

把瑠都関引退のしらせを、知って、やっぱりさみしい。把瑠都の底抜けの明るい性質は、プロレスみたいな豪快でわかりやすい相撲の取り口とよく合っていて好ましかった。引退の会見で、「おすもうさんになっていいことばかりだった」と言った、その記事をネッ…

旅の絵日記

土曜日はお客があって、一緒にお昼をした。前日に、ゼラチンをふやかして、蟹缶帆立缶を汁ごとまぜてチンしたものにとかしこみ、アスパラガスと人参を配して流し込み、冷蔵庫にいれて、テリーヌをつくっておいた。見目はよかったが、潮のにおいがぷんぷんす…

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

ごみを、少なくするようにと考えていて、野菜くずが出ないような料理を心がけているのだが、要は、野菜くずがでるのか、わたしの有機的なものがでるのかの違いに過ぎないのではないかと、気がついてしまった。エスカレーターやエレベーターも控えて、階段を…

人やさき犬やさき

前のまえの月曜日の朝から、フクちゃんに乳をやらない。夏前に、夜だけは飲ませないようにして、朝までよく眠るようになったが、最近になって、三時ごろにぐずり、朝も五時に起きるので、仕事の最中にきまってウトウトしてしまう。思い切って全部やめること…

abさんご

庭の植え込みのイタリアンパセリは、たいして水もやらんのに元気に茂っていたが、梅雨明けごろにあおむしが見つかって、みるみるうちに数が殖えて、食い尽くされ、いまは太い茎を残して、まるはげになってしまった。あおむしは、鮮やかなグリーンと、黒のし…

山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた

夏休み、鎌倉についた日に、義父が、本の詰まった古新聞いれの紙袋をどさりとおいて、「これ、ことし読んだ本、お好きなのどうぞ」というので、いくつか選んで借りてきた。夏休み明けのぼんやりした頭を小突くように、山中先生の本をひらいてみる。通勤の電…