まみ めも

つむじまがりといわれます

2019-01-01から1年間の記事一覧

万引き家族

週末、阿波踊り大会があったとかで屋台が出ていた。ミニトマトの「樽っこくん」を箱買いしたあとで商店街をのぞいたら、八百屋の店先にわたあめの機械があったので、自転車をとめて、お財布からだした百円玉をふーたんににぎらせて、わたあめくださいって言…

掌篇歳時記 春夏

「う」 が安くなっていたので、思い切って一尾買って週末にちらし寿司をした。塩もみのきゅうり、いり卵とうなぎを混ぜこみ、おとなはあとから青じそとみょうが、山椒を足す。高山なおみは日々ごはんのなかでうなぎのちらし寿司にゆかりを入れていて、おっと…

父と私の桜尾通り商店街

金曜、かがやき532号で浦和に戻ってきた。ならびの席みっつに、五人で。帰りに駅前のバーガーキングでソフトクリームをなめ、青物屋で買い物をすませると、一気に生活がまわりだす。帰宅即麦茶をいれ、米を炊き、夜はレトルトのカレーライスとハヤシライ…

ピアリス

日曜についに、治療をやめますかと医者にいわれた。誤嚥性肺炎になり、いまは酸素を吸っている。肺炎が落ちついたら、ラストチャレンジでタルセバをやる。胃瘻もうまくいかず、高濃度の点滴を首から入れる処置をやったらしい。運転もできずこども四人かかえ…

シコふんじゃった。

ままならないことが増えていく。父は胃瘻がうまくいかず、日に日に衰える。ナースコールを手にとって呼ぶこともできなくなり、なんとか押せる方の手にボタンを握りしめて過ごしているらしい。相変わらず死の棘している母はままならない父にも苛立ちがつのり…

帰ってきた日々ごはん〈1〉

実家にもどったなりで出ばなをくじかれてしまい、世界からはじかれていた自分を思い出す。炊きたてのごはんのおいしさにむなしくなってしまい、おかわりを二杯した。ぷよひめという名前のトマトに親近感をおぼえたけれど、ぷよではあってもひめではない。ひ…

おいしい記憶

ジャワカレーの反町隆史にムラムラっときて、牛肩のかたまり肉を買い、 レシピにある甘とうがらしがよくわからなかったのでぴり辛ピーマンという長いみどりとがったのを炒めて、ジャワカレーのルウを溶かし込んで作ってやった。盛夏に食べるカレーの最適解。…

村上春樹雑文集

ばあちゃんのお弔いにはげんちゃんとふたりで出た。ばあちゃんらしい、立派な死に顔だった。化粧の似合わない、豪快で気持ちのよいひとだったなあと思い出す。蚊帳を吊ったなかにみんなで寝転んでしりとりをしたっけ、ほおずきを揉んで笛をつくってもらった…

マリー・アントワネット

BSプレミアムで再放送している「大草原の小さな家」を録画して、家族みんなでみるのが週末のお定まりになっている。先週は「おめでとうエミーおばあさん」という回で、生きているうちにこどもに会いたいという一心で牧師さんや知人に嘘をついてお葬式をやろ…

マイ・バック・ページ

海の日の7月15日にようやく初蝉、蒸し暑い日が続く。肌が荒れて、これまで使っていた洋服がことごとくちくちくあたるようになった。おっぱいが張るのもあって、あらゆる服が似合わない。どもならんのでユニクロで期間限定で廉売していたジーンズを色違いで三…

愛がなんだ

先週、友だちからパンと手作りのもものジャムが届いた。香ばしいパンは、ヒンメルというドイツパンの店のものらしい。さっすが、東京のパンはうめえなあと感心してしまった。 同じようにだれかにしたくなり、半月おくれであかちゃんをうんだ友だちのところに…

趣味で腹いっぱい

七夕はふーたんのお誕生日だった。あさ一番にパジャマ着のままプレゼントを渡す。はぐプリの変身タッチフォンプリハートDXとおともだちピンクの7月号。午後はリクエストのチョコバナナケーキを丸いグラタン皿に作り、夕飯はハンバーグに目玉焼きをのせて、…

夜露死苦現代詩

はちみつと茂蔵の無調整豆乳をいれたコーヒーを毎朝飲む。うるおう豆乳はアセスルファムKのあと味がべろに残るのが気になって、飲めなくなった。やっぱり茂蔵で生おからを買ってきてもらい、ツナと生野菜を刻んで塩もみして混ぜ込み、酢とマヨネーズで和えて…

男と女

遊歩道の枇杷の木に鳥があつまって樹下に実がちらばっているので、一応人目をはばかりながら届きそうなところの枝をつかまえて手元に引っ張り、やっとこさひとつだけ、無傷の実を手にとれた。冷蔵庫に冷やしてうぶ毛のはえた皮をむき、ほんの小さな実をまる…

アースダイバー

子の一か月健診があり、ベビーカーにのせて出かける。産院の通りをはさんだ向かいにあるスターバックスコーヒーで冷コーヒーをマイボトルに詰めてもらい、はちみつと牛乳を足したのを、ごくごくごくと飲んでから病院へいったら、待合室は椅子が埋まるほど混…

もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた

日に日にまるくなって二重あごになり、沐浴のときに首のくびれからゴミが取れる。きのうは首すじを撫ぜるとするすると10センチをこえる糸くずが出てきた。思わず浴室の床に細長くのばして見つめてしまった。 留守番のとき、げんちゃんをベビーカーにのせてふ…

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン

きょうでひと月が過ぎ、プラスチック製の洗濯かごでやる沐浴が窮屈そうになってきた。家にいる時間が長いので、ラジオから流れてくる音楽にピンとくると、YouTubeで検索してかけなおしたりする。目を使うと疲れるので、耳だけで。 Cat Power “The Greatest” …

アンカーウーマン

庭の物置から四年ぶりにひっぱりだしたベビーカーが埃まみれだったので、風呂場で汗だくで丸洗いをして、乾かしておいた。おつかいに最寄りのコンビニに出たのが通院をのぞいてはじめてのおでかけで、娑婆の空気に盛り上がって、おこもりのあいだに新発売に…

文豪お墓まいり記

友人のKKちゃんが退院後の暮らしを気づかって、おかずを宅配便で送ってくれた。切干大根と、ミートソースをたっぷり。切干大根は、自家製の干した大根で作ってあり、人参と厚揚げと煮てあった。タッパーにたっぷり詰められたおかずに思いやりがしみて、あり…

ボーイミーツガールの極端なもの

夕暮れ前にむっと暑くなる日が続く。二階の寝室に昼間の暑さがこもるので、扇風機を出して、夜はつけっぱなしにしている。何年か前に買い換えた扇風機には、ファジー運転がないのがちょっとつまらない。 数日前、やたらとうぐいすがなく日があって、近く遠く…

レンタネコ

おかあさんが帰って、日常のリズムが戻ってきつつある。おかあさん、帰る日の朝に、食パン二斤ぶんのサンドイッチを作り、トイレットペーパーを買ってきて、渡しておいたカードに電子マネーをたっぷりいれてくれた。母の愛と簡単なことばで片づけられないも…

しびれる短歌

ざあざあ降る雨で一日そとに出られない、と思ってみたけれど、退院してひと月が過ぎるまでは家におこもりなのだったっけ。おかあさんはあしたの朝まで、きょうは雨のなかを二度おつかいに出て、キャベツやじゃがいもや玉ねぎの重たい野菜を買い込んで、とり…

えーえんとくちから

退院の二日後におかあさんが来て、家のこまごまとした仕事を片付けてくれている。庭の草取り、シーツの洗濯、掃除機、炊事、買い出し。きょうは小学校がお弁当給食で、おかあさんにお弁当作りをまかせて、こちらは七時までぐーぐー寝た。おかあさんのお弁当…

風立ちぬ

二週間がたち、きのう期限ぎりぎりで出生届を提出。二択にしぼってからなかなか決めきれず、あみだくじもやって、ようやっと、源三に決まった。うまれてすぐに瞳がうるうるしてたので、さんずいの名前がよかった。名前が決まるまではみんなでばぶちゃんばぶ…

華麗なるヒコーキ野郎

ばびの体重が減って、入院することになってしまった。もともとちいさかったのにさらにひと回りちいさくなり、吸う力が弱くなってしまったらしい。三日間で文庫本一冊くらいの重さが減っていた。体重の7パーセント弱。不甲斐なさとさみしさでじゅわじゅわ泣け…

追憶

退院してみたら庭先の紫陽花がいい感じに白さを増して、初夏の日差しを浴びて光っている。遊歩道のびわもオレンジが濃くなった。 退院の日は、家についてすぐに哺乳瓶の消毒と米を炊き、お昼はレトルトのカレー。夜はポテトサラダや焼きそばを作って、あけて…

世界の果ての国へ

家から最寄りの産院は、微妙かつやや過剰なセレブ感を醸しており、コンシェルジュのサービスがあってハーブティーを出してくれたり、入院する部屋も星だの宇宙だのコンセプトがあったり、お産のときにはモニターにタイミングにあわせてCongratulationsとメッ…

まよいこんだ異界の話

おしるしがあり、ぐりぐりする断続的な痛みでひどい寝汗をかき、夜はまともに眠れないのがふた晩つづいた。きのうは朝も寝床から起き上がれず、なんとか階下におりてソファに寝そべり、家族を見送ったあとで、すこし動けるようになって、おそ朝のフルーツと…

あじフライを有楽町で

きのうからおしるしが続く。おなかの張りはあまりなく、よくわからないままなんとなくソファに横になって過ごすようにしている。気持ちが落ち着かないで、本の内容もあまり頭に入らず、ラジオをかけてうとうとする。きいたような音楽がはじまって、シャーデ…

博奕のアンソロジー

ふくちゃんが浦和レッズのフラッグキッズに当選して、予定日まであと九日の出っ腹を抱えてそわそわと埼スタにいってきた。キックオフぎりぎりにスタジアムに飛び込み、がちがちに緊張したピッチ上の豆つぶみたいなふくちゃんにおーいと手を振った。レインボ…