まみ めも

つむじまがりといわれます

再婚生活

お父さんの命日には町に繰り出して酒を飲んだ。亡くなったあとの一年は季節のめぐりがしんどくて、お父さんのいない春夏秋冬を噛みしめていたけれど、喪失感がだんだん自分の一部になっている。クマノミズキのはちみつの柿柚子はまだちょっと作れないでいる…

大好きな町に用がある

この二週間で五回も弁当の日があり、金曜日月曜日土曜日月曜日とどめの木曜日は前夜に帰宅してから明日は弁当と知って絶望していたら近所の友だちが冷凍食品の海老ドリアをわけてくれた。ケチャップライスに卵ひとつ分の薄焼きたまごのオムライス、ウインナ…

まともな家の子供はいない

ふくちゃんの社会科見学、ふみちゃんの遠足とお弁当が続く。イベント弁当のときはリクエストを紙に書いてもらう。 ふくちゃん チャーハン てりやき コーン トマト ブロッコリー 人じん ゼリー たまごやき ふみちゃん ウインナー ブロコリ(まよねず) にんじ…

中年危機

金木犀が二度目のにおわせをしていた週末に運動会があった。密予防で午前と午後の二部制で、各家庭からひとりしか入れないので、校庭のフェンスの外には中を覗く人だかりができていて、本末転倒になっている。こどもたちには真っ赤なソックスを膝下まであげ…

アレグリアとは仕事はできない

今年の金木犀は二峰性で、あっという間に終わってしまったと思ったら思い出したようにひとしきりにおわせている。これで本当に秋のはじまりも終わりかな。 朝、見失ったコンタクトレンズを洗面台の前でひとしきり探したあとであきらめて新しいパッケージをあ…

バイ貝

先週の水曜日はせいちゃんが埼スタで試合をするので休みをとって家族でバスに乗り応援にいった。入場のゲート前でチケットを家に置き忘れてきたことを知らされ、げんちゃんがベビーカーの上で立ち上がりひっくり返って鼻血を噴出し泣きわめき、ふたりで血だ…

砂に埋もれる犬

自分の人生に「一身上の都合」を使うときが訪れるとはと思わなかったけれども、退職願に一身上の都合でという定型文を添えて提出したので10月7日は一身上記念日になった(たぶんすぐに忘れるので備忘として記しておく)。片づかない仕事や気持ちに折り合いを…

星へ落ちる

せいちゃん、一泊二日の修学旅行で日光にいってきた。出かける前から、木刀を買うと意気込んでいた。お土産に、家族みんなにお揃いの勾玉のキーホルダー(一つ百円のを六つ買うと五百円になるらしく六人家族のうちにぴったりと思ったらしい)、栃木のいちご…

坊っちゃん

月曜日に風呂場でシャンプーしているときに鼻先に金木犀のにおいがきて、シャンプーの中に金木犀のにおい成分でもまじっているのかなと思ったけれど、つぎの日の帰りの遊歩道であまいにおいが漂って、ことしの秋のはじまりは9月26日。百日紅と金木犀は気がつ…

対岸の彼女

三連休の狭間に持病の通院があり、午後で会社をひけた。乗り換え駅の改札の中にあるコーヒーショップでコーヒーを飲む。コーヒーはアイスとホットを行ったり来たり。採血のあとで近くのブックオフで時間を潰すのがお決まりになっている。 夏物語 川上未映子 …

つまらない住宅地のすべての家

焦げめがつくまでグリルで焼いて皮を剥いだパプリカがおいしくて、こんな残酷なことしてごめんなと内心で思いながら週末になるたびに買っている。スーパーにいくと、自分は絶対にたべないげんちゃんが、パプリカをみつけて赤を買えの黄色を買えのと口出しす…

夏物語

先週の金曜日、都内で用を片付けてから、ぷらぷらと銀座まで歩き、地下の静かな店で久しぶりの友だちと乾杯をした。何年ぶりかに会うけれど、いつ会っても昨日わかれたような親しさがあり、しかし離れがたく、終電の間際までしこたま飲んだ。次の日は三時ま…

だれかのことを強く思ってみたかった

百日紅がまだまだ咲いている。 ふと読みはじめた「スキップとローファー」は能登の片田舎から出てきた女の子が主人公で、ときどき地元のことばと似たような方言が出てくるとうれしい。いまは相手が方言じゃなければうまく話せなくなってしまった。もう地元に…

ほろよい読書

夏休みに実家から車で持ち帰ったまるのままの冬瓜を切って、下茹でして、煮た。冬瓜の皮はまわりに薄っすらとしたとげをまとっていて、むいているときに力の加減が狂って親指をざっくり切ってしまう。しばらく眺めているとじわじわと血が滲み、冬瓜の白を朱…

ざんねんな食べ物事典

14年ぶりの出張で中伊豆に前泊。生ビールを二杯流し込んでたどり着いた宿はせんべい布団に鏡の曇った鏡台がおいてあるディープな雰囲気をまとった部屋で、自販機で買った氷結レモンがぬるかった。源泉かけ流しのお湯に浸かろうと風呂場にいったら、脱衣場に…

愛蔵版 お楽しみはこれからだ

会社の夏休みは三泊四日で実家に帰省。千里浜で遊び、お父さんのおすすめだった揚げたまご丼を食べて内灘の公園で遊んだ。三日目の朝、早起きをして犬の散歩につきあい、やっとお父さんのお墓参りができた。墓の土台のところは手前に開く仕様になっていて、…

自転しながら公転する

家族で予定が絶妙にずれている夏休み。前半は有給休暇を使って二泊三日で渋川温泉。げんちゃんははじめての家族旅行。宿の温泉に七回浸かった。渋川スカイランドパーク、群馬サファリパーク、伊香保グリーン牧場、ロープウェイ、石段街、カラオケや卓球。遊…

羆嵐

水害のニュースでよく知る風景が様変わりしてうつっていた。お母さんは、仕事に出ている山のほうで身動きがとれなくなり一時避難所に行っていたけれど、無事に帰宅し、家は大丈夫だった。いろんなふるい友人の顔が浮かぶ。みんな無事でいてほしいけれど確か…

今、何してる?

おつかいから自転車で帰ったら、黒い青いものが視界にひらめいて、庭の奥にいってしまう。あとを追ったら蜻蛉のようでもあり蝶々のようでもある。しらべたらハグロトンボというらしい。暑さでぼんやりしていたこともあって夢の中のできごとみたいだった。カ…

大衆食堂へ行こう

夏休みの幕開け前夜にげんちゃんが熱を出してそのまま三日三晩の高熱。近くのかかりつけのクリニックにいく。待ち合い室はすいているけれど、別室のCOVID19外来が順番待ちになっているらしい。近くの病院が断る発熱患者が全部流れてくると先生がぼやいていた…

玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ

小学生は夏休み。ふみちゃんのお弁当がはじまった。お弁当のおかずに竹輪の穴にきゅうりを詰めているときにはなぜか「わたしもとうとうヤキがまわったな」という気持ちがつきまとう。卵がすきなふみちゃんのために、玉子焼き、オムレツ、ゆで卵といろんなラ…

仮面の告白

吹き降りの雨が続いた次の朝、庭に百日紅の鮮やかなピンク色が落ちていた。百日紅が咲く現場を押さえたいと毎年思うのに、今年も逃してしまった。統計史上もっとも短いの梅雨だったはずなのに、梅雨前線が復活して戻り梅雨なんて言い出したり、梅雨の思わせ…

GOTH

週末に初蝉。ふみちゃんが、7月7日で7歳になったので、お祝いをする。朝はみんなでロイホにモーニングにいった。パンケーキが大好きなげんちゃん、油断したすきにメープルシロップをくいっと飲んでしまった。ふみちゃんは大好きなたまごのプレート。夕飯の献…

ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。

梅雨明けの猛暑の日曜日、サッカーにいくふたりを送り出したあとで、ふくちゃんとふみちゃんとげんちゃんを三人連れて、ロイホでモーニング。目玉焼きがふたつのプレート、パンケーキのプレートをそれぞれ頼んでおそ朝。げんちゃんがお店の中で出し抜けに「…

あかんべえ

先週の土曜日は夏が本気を出した初日のような天気で、急にサッカーの予定がなくなってしまったこどもたちを誘って浦和宿古本いちへいった。 羆嵐 吉村昭 まだまだ酔ってません 大竹聡 悪魔のいる天国 星新一 百 色川武大 土と草と風の絵本 田島征三 もの食う…

交通誘導員ヨレヨレ日記

七月を迎える前に梅雨明け。朝、みみずがたくさん道路でのたくって行き倒れている。死屍累々を踏み越えて仕事へ。 小学生のとき、みみずは七つに切るまで死なない、七つ以上に切ると死ぬという噂がまことしやかに囁かれていて、草刈りのかまで校庭のみみずを…

大衆食堂に行こう

夏至の帰り道でゲリラ豪雨に降られた。あじさいもくちなしも花が端っこから茶色くなっている。もう少ししたらさるすべりだけがいつまでも鮮やかな夏がくる。 大衆食堂に行こう (だいわ文庫) 作者:東海林 さだお 大和書房 Amazon ト。 安くて、うまくて、人情…

されど私の可愛い檸檬

何年ぶりかで東京にいく。埼京線と井の頭線を乗り継いで、はじめてひとり暮らしをした明大前を過ぎて、手のとどかない記憶に気が遠くなりながらたどり着いたところは畑とカクヤスとOKストアが徒歩圏内にある抜群の立地だった。明るいうちからビールを飲んで…

遠慮深いうたた寝

梅雨入りして遊歩道やよその庭のあじさいが目に鮮やか。花が重たくなって、垂れるように咲いていたりする。あじさい、花のひとつひとつ、株の中の花たち、集まって咲いているのがかわいい。ブーケが咲いているみたい。 あじさいが前にのめって集団で土下座を…

アラフォーウーバーイーツ配達員ヘロヘロ日記

個人面談があったので昼で仕事をあがり、デパートで買い物をしてほくほくで昼ビールをキメた。酒ではなく面談をはしごして、三つこなす。ひとり若い先生がおり、まだ27歳なのだけれど、自分のその頃を思い返すと学生風情でとんでもない男と付き合っており、…